作家インタビュー

自由な世界をキャンバス上に表現「押し込めていた自分が報われる」 / Seira

ぱっと目を引く、一面に描かれた弾けるようなカラフルな色彩とまるでおもちゃ箱をひっくり返したかのような無邪気で賑やかな表現。

その自由な感性で描かれた画は「見ていてポジティブな気持ちになれる」というファンも多い。

専門的に絵を学んだ訳ではなく、独学で絵を描き始めたというSeiraさん。

自らの表現のルーツや世界観の根源についても詳しくお話をいただきました。

既存の表現も好きだけど、「自分で作る」という事がもっと好きな子どもでした。

ー Seiraさんは独学で絵を描き始めたということですが、アートに目覚めたきっかけを教えていただけますか?

私は何か表現をする事が小さい頃から好きだったんです。始めは絵ではなくて、子どもの頃の習い事だとピアノだったり。

決まった曲を弾く事もそれはそれで好きなんだけど、自分で曲を作ったり「自分で何か作る」という事が好きな子どもでしたね。

あとはダンスも習っていて、中学、高校生の時に一番熱中していました。踊るのも、自分で振り付けを作るのも好きだったんです。

それで、振付師とかのダンスの道に行こうかなと思っていたある日、TRFさんのバックダンサーのオーディションに応募してみたんです。

そしたら、書類審査で受かってしまって!(笑)

ー すごい!しかもTRFの!

私の地元は宮崎なんですけど、東京まで行ってオーディションに参加したんです。

でも…実際の現場を見て、自分が思っていたのとはなんだか違うな…と感じてしまって。それでダンサーの道は諦めてしまったんです。

その後はまた音楽に戻ってクラシックギターを始めて、クラシックにジャズに、ボサノバとかフュージョンとか…いろんなジャンルの音楽もやってみたんですけど、そんな風に模索していた時に絵も描き始めましたね。

「君は絵を描き続けた方がいいよ」って言っていただけて…そんな事を言われたのは初めてだったんです。

ー Seiraさんの表現のルーツは音楽やダンスから始まったんですね、そこから絵を描き始めたきっかけは?

実は、それまで絵を描く事にあまり自信がなかったんです。

今もインスタによくUPしているようなキャラクターっぽい絵を授業中に描いて、「なにそれ気持ち悪い!」みたいな事を友達に言われながら描いてるぐらいで(笑)

その延長で、出版社の応募が雑誌の裏にあって、また例のごとく応募してみたんです。

そしたら後日「講評が受けられます」といった連絡が来て。

せっかくだし行ってみよう!と思って行ってみたら、「君は絵を描き続けた方がいいよ」って褒めていただけて…そんな事を言われたのは初めてだったんです。

「じゃあ、絵をやってみようかな」って思って、そこからですね。

その後もコンテストによく応募をしていて、そうしていたら「海外で展覧会しませんか?」っていうお声がかかったんです。ドイツやヨーロッパの方面でのグループ展に参加させてもらって、そこで初めて海外で売れたり。

絵に関しては全部独学なんですけど、私はそんなこんなで今に至っています。

自分の世界という大きいものがあって、そこにいつも繋がってる、安心できる場所。

ー Seiraさんの描く画は、既成の概念に囚われない、自由な表現といったイメージがあるんですが、こういった様々な発想はどこからやってくるのですか?

普通に浮かんできたりとか…(笑)私は、特に何かすごい思想がある訳ではないんです。

普通に生活をしていて、ある時パッて思い浮かぶという事が一日に何回かあって、「じゃあ次これを描こう!」という感じです。

カラフルな色彩や表現は好きなんですけど、普段は別にそんなにキラキラした生活を送ってる訳でもないし…だからこそなのかな、私の絵にはそんな現実逃避も込められてるかもしれません(笑)

元となってる世界観は…あまり明るい話じゃないんですけど、自分の世界に浸る事が多かったのかな。

自分の作った世界の中だったら誰からも攻撃されないし、嫌な事から逃げるという訳でもないんですけど、私には自分の中の世界という安心できる場所があって、そこといつも繋がってる感じがしますね。

だから、深い事は何も考えてないんです。良い悪いは置いておいて、思いついたままに描いてますね。

ー カラフルな配色が好きになったきっかけとかはありますか?

小学生ぐらいの時に、ミサンガがすごく流行ってたんです。

友達が作ってくれて、色の組み合わせを考えた時に、これとこれは好き。この組み合わせは嫌な感じがするとか。小学校の時からそれを意識してたのはありますね。

あと、PLAZAっていうお店が好きで!(笑)PLAZAに行くとすごく元気が出るんですよね。

あのカラフルな感じや海外の雑貨とかも好きなんです。

ー Seiraさんの絵はよくいろんなモチーフや動物が登場しますが、最近は龍の絵もよく描かれていますよね?

龍を描き始めたきっかけは、お客様からオーダーをいただいて初めて描いたんです。その時は「上昇」っていうテーマだったんですね。縁起が良さそうなイメージで。

そこで「あ、龍か!」とハッとして。「縁起が良い」というテーマが、自分の中で浮かんできたんです。そしたら龍を描けるようになってきたんですね。

アイデアが浮かんだら、「真ん中に龍」「下に富士山」といった感じでメモ帳に書いたりしてます。今出品している「夢の中に現れた龍」という絵だと、ぐるぐるになっている身体のバランスは考えたり、感覚で描く中でそこには頭を使うんですけど。

寝る時、夢を見るまでの間に「今週はどういう絵を描こうかな」って考えてたんです。自分の中で描きたい絵のストックがいくつかあるんですよ。

その時に、背景は黒で!というイメージが浮かんできたんです。今まで書いた龍だとうろこ1枚に2色使ったりして色の組み合わせも楽しめてたけど、1枚で勝負する絵を描いてみたくて。

だからあえて背景は何もしないで、思い浮かんだ時のそのまんまの画ですね。

夢の中に現れた龍 / Seira

見てくれた人に、出来るだけお伝えできることは全部伝えたい。

ー Seiraさんの作品はタイトルの付け方がまたユニークですよね。解説文もいつも読んでいて面白いです。

タイトルはよくお客さんにも聞かれるんですけど…単純に語彙力がなくて(笑)

実は絵を描き始めた当初は、タイトルとかは考えてなかったんです。展覧会の時も無題で出してたんですよ。

そしたら見に来てくださった方に「なんかタイトル付けた方がいいよ」って、言われてからつけるようになりました(笑)

基本描いてる最中は無心なんですけど、描いてる時に降ってくる時もあれば、描いてから考える時もあったり、タイトルはそういう風に決めてますね。

解説に関しては、見てくれた人に出来るだけお伝えできることは全部伝えたい、と思っていて。

タイトルも無題でやっていた事もありましたけど、興味を持っていただいた時に読んでもらえるといいかなって思ったから、そうやって見てくれる人にも自分から歩み寄れるようになっていきましたね。

花に乗ってみたいスペシャル / Seira

ー DiSCOVARTに出品されている作品の中で、Seiraさん的に特にお気に入りの作品はありますか?

うーん…「花に乗ってみたいスペシャル」ですかね。真ん中に埴輪とか土偶を描いたんですよ。

ー 埴輪の発想は一体どこからやってきたんですか?(笑)

埴輪と土偶が好きで(笑)私の出身の宮崎県は埴輪が有名なんですよ。

よくお土産コーナーに置いてあったりとか、それで埴輪と土偶がかわいいなとずっと思ってたんですね。

でも、今まで描いた事がなくて…これが初めて描いた作品なので。個人的にはこれが一番好きです。

ー 土偶とお花というのもなかなか結びつかない組み合わせですが、その土偶がお花に乗って嬉しそうにしてる、といったストーリーもこの絵の中につまっているという。

ありえない事かもしれないんですが、それもそういうストーリーがパッと思いついちゃうんですよね。

そういうのが浮かんでくるのって、私だけじゃなくて誰でも思いつくものだとずっと思ってたんです。

そしたら、人とそんな話をした時に「そんな事ないんじゃない?」って言われて、みんなそうじゃないんだ!って初めて知りました(笑)

こういうのは私の個性でもあるんだなと気づく事ができたので、今後はストーリーが強めに出てる作品も自分のシリーズとしてやってみようかなって思ってます。

押し込めていた自分に、「そのままでいいよ」って言ってもらえてる気がするんです。

ー Seiraさんにとって「描くこと」とは何ですか?

「生きがい」かな。

いろいろ思うところはあるんですけど、全部そういう事に行き着くかなと。

描けない時があると、自分の中に溜まっていく感じがして…だから、どんどん描いてるんです。膿を出す、みたいな。出すことで自分の中で循環をさせてるところがあります。

そんな自分の世界を出す事で、いいねって言ってもらえたり買ってもらえたりとかすると、幼い頃に我慢していた、辛い思いをしていた自分が報われるっていうか。

子どもの頃は、元々明るい性格だったと思うんですけど…なんだかその素のままでいくと、それを鬱陶しいなって思う人がいて…「明るい自分を出さない方がいいんだ」っていう風に自分を押し込めてしまっていた時期がありました。

それがあったから、自分の世界を作るようになったんじゃないかと。

絵に関しては「何それw」みたいに言われることも勿論あったんだけど、でもそれでも続けてきて「面白いですね」って良い感想をもらえたりするようになったから…なんだか「そのままでいいよ」って言ってもらえてる気がするんですよね。

やっぱり挑戦はしていきたいなって。ずっと同じだと自分がつまらないって思っちゃうから。

ー これからやっていきたい活動とかはありますか?

海外にもっと出したいというのが一つと、シリーズ物作品を増やしていきたいなというのは思ってます。

自分の中でシリーズの構想がいくつかあって…パン屋さんでいうと「うちはメロンパンだけでやってます」じゃなくて、メロンパンもやるし、チョコパンもやるし、いろいろやるし!みたいな感じで1つの方面に囚われずいろんな方向性でやっていきたいです。

あともう一つは、「絵を描かない」っていうことですね。

ー まさかの!あえて絵を描かない活動ですか?

キャンバスを目の前にすると、どうしても「描かなきゃ」って思うんだけど、そこであえて描かないっていう。

そうした時に、どういうものができるのか。それを自分でちょっと試してみたいなと思ってます。

ー 先程描くことは循環とおっしゃっていたので、断食みたいな感じですね。そこからすごい作品が出てくるのか、もしかしたらまたダンスや音楽方面での表現が出てくるかもしれませんね。

かもですね。やっぱり、挑戦はしていきたいなって。ずっと同じだと自分がつまらないって思っちゃうから。

もちろん絵という分野の中だけでも、どんどん面白いことをやっていきたいなっていうのは思ってます。

絵を描く事は、素の自分と内面世界のアウトプット。

そう語る彼女ならではのユニークな世界は、それを見た誰かにプラスの影響を与えたり、幸せをもたらしているという良い循環が起こっています。

今後はシリーズ物も増やしていきたいと意欲的に語るSeiraさん。

自身のSNSでも日々新たな作品がUPされており、これからどんなSeiraワールドが生まれてくるのか楽しみですね。

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