作家インタビュー

毎日SNSにUPすることで、常連さん、ご新規さん、お久しぶりの方にも出会えるような感じを楽しんでいます / おか ももこ

ある世代には懐かしさを感じさせ、ある世代には新鮮さを感じさせる。

やわらかな曲線の「レトロカワイイ」タッチの中に、見ていて楽しくなるようなユーモア要素が多く散りばめられたガールズ達を描くイラストレーター おか ももこさん。

普段は3人の子ども達を育てる母としての側面も持ちながらも、SNSでは毎日欠かさず新作がUPされており、フォロワーを楽しませています。

持ち味である「かわいい」「ちょっとダサい」「なんだか懐かしい」「ちょっと気になる」作風に影響を与えたもの、本格的にイラストレーターとして活動を始めるまで、一日一絵の習慣を続けられる事への思いについて伺ってみました。

コロナの影響で仕事を失った後「自分の表現できる場所を自分で作らなくては」とSNSをスタート。

ー ももこさんが絵を描き始めたのはいつ頃ですか?きっかけも教えてください

4~5才くらいからかと思います。

ぼんやりとした記憶ですが、母に褒めてもらうのが嬉しくて描いていた気がします。母はイラストレーターとかでは無かったのですが、母の描く絵や色の塗り方が好きで、子どもの頃はよく真似ていました(笑)

例えば母はりんごの絵だと赤1色じゃなく下側を黄緑や黄色、真ん中から上側を赤でグラデーションになるように色をつけていたんです。

私や弟の似顔絵もシンプルで単純な線なのにちゃんと似ていて、子供ながらにそれがいいなぁと思っていました。

それとアニメを観ることが大好きだったので、好きなアニメのキャラクターを真似て描いたりもしていました。覚えているのは「きんぎょ注意報」というアニメのわぴこやギョピちゃんというキャラ。あとは「ちびまる子ちゃん」「セーラームーン」「ドラゴンボールZ」の悟空など色々です。

ー 本格的にイラストレーターの活動をし始めたのはいつ頃ですか?

子どもを授かったことをキッカケにそれまで勤めていた会社を退職して、子育てが落ち着いた頃に空き時間に自宅でご依頼のイラストのお仕事(主に商業向けのモノ)を少しさせていただいてて、それと並行してデザインコンペなどに参加したりしていました。

色々参加したコンペの中に、アパレル系のテキスタイルを考えるコンペがあって。相性が良かったのか何度か採用いただきました。

賞金ももちろん嬉しかったけど、商品化されてアパレルショップのサイトに自分のデザインしたテキスタイルの洋服が並んでいるのを見たり実際にその商品を手にとることで、そこで私を表現出来ているような気がして、とてもやり甲斐を感じていました。

ところがコロナが流行り、しばらくしてそこのコンペサイトは閉鎖されて、アパレルショップも一旦閉店されることになり…それまで自分を表現出来ていた場所が、急になくなってしまったんです。

初めは、「自分の作風」というものがよく分かっていませんでした。

自分の表現できる場所を、自分で作らなくては…ということでSNSに新しいアカウントを作って、それまで求められたテキスタイルじゃなく、自分の描きたいものを描いてみようと思いました。でも初めの頃は、「自分の作風」というものが、なんなのかよく分かりませんでした。

女の子を描くのは好きだったので描いてみるものの、自分の好きな感じにはなかなか近づけず…色々やってみたいことがあってもうまくカタチに出来ず…。今もまだまだですが、その頃は圧倒的に力不足でした。

ー なんだか意外です今の作風が確立されたのはここ数年なのですね。

絵は得意な方だと思っていたし、専門学校で学んだり、いくつか絵のお仕事をいただいた時もプロ意識を持って取り組んできたつもりでしたが、イラストレーターって免許や資格がある訳でもなく趣味とプロの線引きが曖昧なところが自分の中で不安定な要素だったので、機会があり思い切ってプロの方にも当時作品を見ていただいたんです。

そしたら自分でも薄々気づいていたけどずっと誤魔化してきたダメな部分を見事に突かれて(笑)今までの驕りを戒めていただきました(苦笑)

それでも「世界観は出来つつある」「とにかく続けて」など温かいお言葉もいただいたので、自分の好きなタッチ、アニメやファッション、不得意な部分…色々と向き合い、毎日絵を描いていくうちに少しずつ今の作風に落ち着いた感じです。

ももこさんの絵を見ていると、昔親しんだ少女漫画やアニメを見て、その時のときめきを思い出して懐かしい気持ちになります(ちなみに筆者は30代)特に影響を受けた漫画やアニメはありますか?

影響を受けたものは小学生の頃によく読んでいた長谷川潤さんと高橋留美子さんの漫画です。

漫画の内容も面白いのですが、お二人の描く登場人物がとにかく可愛くて大好きです!

長谷川潤さんを知るキッカケにもなった「しょーがないヤツ。」という漫画は特にハマりました。高橋留美子さんの漫画だと、「うる星やつら」「めぞん一刻」「らんま1/2」辺りのタッチがドストライクです。

アニメだと「クリィミーマミ」「ミンキーモモ」「魔法使いサリー」「ひみつのアッコちゃん」「おばけのホーリー」。他にも多分あるけど、今思いつくのはこの辺りです。

あとは、昔家にあった古い国語辞典の裏表紙に落書きがあったんですけど…鼻の頭に絆創膏を貼っててキャップを被ってるショートカットのヤンチャそうなレトロ漫画風のキャラクターが三色ボールペンで描かれていて、物心ついた頃からその絵にどこか惹かれていました。

それを描いたのが母なのか母の妹なのか…誰が描いたのか分からないのですが…。この絵からも少なからず影響を受けているような気がします。

ー ももこさんの作品はよく見たら女の子が食べ物だったり文字や模様になっていたりと、遊び心が所々に散りばめられていますよね。いつもインスピレーションは、どのようにやってくるのですか?

よく子どもの送り迎えとかで歩きながらモチーフを探したりしてアイデアが浮かぶことが多かったのですが、今もそんな感じで日中を過ごしながら、ふと閃いた時にメモを残したりしています。

本当は閃いた瞬間から手を動かしたいけど、まとまった時間(子ども達が寝た後)に集中して描きたいのでメモで我慢します。

あとは「今日はなんの日」と調べて出てきた「〇〇の日」の〇〇をモチーフに考えることもあります。

ファッション雑誌などで目を引くような個性的な広告とかを見かけることがありますが「自分の描くこんな絵が紙面に出てきたら面白いなぁ~」とか、そういった妄想を働かせながら描いたりすることもあります。

普段なかなか会えない方々がSNSにアップした絵を見て反応をくださると、その日はその方と少し関われた気がして嬉しくなります。

ー 子育てと創作活動の両立でかなり忙しい日々なのではと思いますが、Instagramでは毎日欠かさず絵がUPされていてすごいと思います。反面、アイデアに行き詰まったりスランプ等はありますか?

ありがとうございます。アイデアの出ない日ももちろんあって(笑)、そういう時はとりあえず手癖で何も考えず描きたいように描いたり、過去絵をリメイクしたりしています。

SNSにUPしている今まで描いてきたイラストはどこかの段階でキャンバスなり大きな作品としてもう一度描きたいと常に思っていて、アイデア出しの段階に近い感覚なんです。

今描いている絵も、未来の自分が見たらきっと下手だけど、でも過去絵の下手なりにその時にしか描けないアンバランスな感じも気に入っています。なので過去に描いたものはそれとして、今の自分にしか描けないリメイクを楽しんだりしています。

ー 忙しい中でも、一日一絵の習慣を続けられる秘訣がありましたら教えてください。

私は細切れ時間での作業が苦手なので、まとまった作業時間の取れる子ども達が寝た後の夜中をメインに創作活動をしています。

作業時間がずれ込んで、お恥ずかしいお話ですが朝はなかなか起きられず(苦笑)、今は朝の支度をほとんど主人に任せてしまっています。

何か新しいことを始めようとするタイミングなどでも、生活のことを考えてなかなか私が一歩踏み出せずにいる時は、大体主人が「やってみたら?」と背中を押してくれることも多いです。

なので一日一絵の習慣も含め、今私が自分のやりたいことを続けられるのは、まず家族の協力のおかげだと思います。

普段リアルではなかなか会えない方々がSNSにアップした絵を見て反応をくださると、その日はその方と少し関われた気がして嬉しくなります。

たまに行きたいお店があって、何気なくフラッと立ち寄るといつも開いてるみたいなのっていいなと思うし、そんな感覚で毎日イラストをアップすることで常連さんにもご新規さんにもお久しぶりの方にも出会える感じを楽しんでいます。続けることで自分自身も少しずつ前に進めている感じがするし、絵を描くこの時間が、自分の時間という感じで1日の中の大切な時間でもあります。

見てくださる方がいて、自分でも進歩を感じられて(亀の歩みだけど 笑)、自分の時間を過ごせているなぁという実感が毎日SNSでイラストをあげる理由になっている気がします。

コンペ初入賞作品。テーマは「架空のカレッジ、クラブロゴ」

ー これまで行ってきた活動やお仕事の中で、印象的だったエピソードがあれば教えてください。

テキスタイル時代ですが、コンペで初めて作品の入賞が決まった時に、当時はいつ商品化されるのかなぁとワクワクしながら毎日のようにアパレルショップのサイトをチェックしていました。

ある時いつものようにサイトを見にいくと、そのショップの専属モデルさんが自分のデザインした服をきてポーズをとっている画像が目に飛び込んできて、人生のトップ5に入るくらいとっても興奮したのを今でも覚えています。

商品化されたものをとりあえず2着ほど自分で購入しました笑(後にコンペサイトからも1着プレゼントとして送られてくるのですが、その時は入賞も商品化も初めてだったので知らず… 笑)夢心地というか、とにかくそれまで味わったことのない喜びと達成感にとっても生き甲斐を感じました。

家族や好きな人たちと過ごす喜びとはまた一味違う喜びでした。あの時の感覚をまた人生のどこかのタイミングで味わえたらいいなぁと思います。

ーこれからはどんな事に取り組んでいきたいですか?

雑誌の挿絵のお仕事に憧れていて、星占いのコーナーなどの挿絵をやってみたいです。あとは本の装画ですね。本屋さんに自分のイラストが並ぶところをいつか眺めてみたいです。

ー最後に、あなたにとって「創作・作品づくり」とは何ですか?

おしゃべりはうまくないし(笑)文章を考えたり書いたりすることも苦手なので、創作・作品づくりは「自分を表現する手段」の一つで、「生き甲斐」です。

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