作家インタビュー

「アート」というより「コント」。綺麗ではないものをあえてPOPに描く / nezmizm.

画面に描かれた一見かわいらしいカラフルなネズミ達。

絵本のような作風かと思いきや、よく見るとなかなかウィットに富んだ表現と妙にクスリと微笑んでしまうようなブラックジョーク要素が垣間見え、独特のコミカルさとシュールな空気感を醸し出している。

作中の主人公は、ハムスターやデグー等のペットとして可愛がられている種とはまた違う、あえて「クマネズミ」という種類のネズミである。一般的には害獣であり駆除対象とされる生き物だ。

自ら描く作品には全て「お笑い」が根底にあると語るnezmizm.さん。普段は雑貨&ビールBARの店主をしながら作品制作をしているという作者にこれまでのお話を伺ってみました。

絵を描くというより、ショートコント的な感覚だった。

ー nezmizm.さんが絵を描き始めたのはいつ頃ですか?

元々は遊びで4コマ漫画を描いてました。15歳ぐらいからです。昔から僕はお笑いが大好きで、特にダウンタウンさんが大好きだったんです。

絵を描くところから始めたというより、ショートコント的な感じで4コマ漫画を描いていましたね。

僕自身は人前に出るのが苦手な人間なので、芸人を目指していた訳ではなかったのですが(笑)人前に出ない代わりに、4コマでコントを表現していたところはあります。

実は、WEB漫画で連載してた事もあります。昔ヤングマガジンアッパーズ(講談社)っていう雑誌があって、仕事として連載を半年くらいやってましたね。

ー すごいですね!その時の作品は今も残っているんですか?

それが残っていないんです…引越しを繰り返していたらどんどんなくなっていきましたね…

ー それはもったいない…!その後漫画連載のオファーとかは?

実はあったんですが…雑誌自体もなくなっちゃいましたし、いろいろあってその後のお話は無くなっちゃいましたね(笑)

キャンバスに描いている絵は、「ネズミの生体」というコントの一場面。自分の創作の軸には、必ずお笑いの要素がある。

僕は元々島根県出身なのですが、高校卒業後はお笑いの本場である大阪に行きたかったんです。大阪でフリーター生活をしながら並行して絵も描いてました。…にしても、こう振り返るとだいぶフラフラした人生ですね(笑)

ー nezmizm.さんのプロフィールには、今のネズミ画にたどり着くまでのモチーフの変遷に「じいさん」と「カワウソ」というのがありますが、それらの発想はどういう所からやって来たのですか?

じいさんモチーフは、大阪のとある区に住んでいたときに…治安が良いとは言えない地域だったのですが、近所に居たホームレスのおじいさんから着想を得てましたね。

カワウソは動物園で見て可愛いなぁと思って…そこから2匹のカワウソのキャラクターが漫才をしている画を描いてました。

カワウソコンビの構想は今も頭の中にあって、いつか絵本にするのが夢です(笑)

ー nezmizm.さんの中でお笑いは切っても切り離せないものなんですね。現在主に描かれているネズミですが、「クマネズミ」と検索したら悲しいことに駆除系の対策まとめや業者のサイトがズラリと出てきました…(笑)何故あえてクマネズミをモチーフにしたのですか?

クマネズミは顔は可愛いんですが元々害獣なんですよ。かれこれ15年くらい描いているのですが、きっかけは某飲食店で店長をやっていたときに出会いました。飲食店側としてはネズミは天敵なので、即駆除しなければいけません。

毎日毎日いろんな罠をしかけて奮闘していたのですが、奴らめちゃくちゃずる賢くてなかなか捕まってくれないんです…

そうやってネズミと格闘しているうちに、ある日ふと、ネズミがすごく可愛く見えてしまった瞬間があったんですね。

[ネズミとの出会いの詳細はコチラ ▶]

ー ネズミに振り回される様が「トムとジェリー」みたいですね!

まさにそうなんです(笑)

そこからネズミ画に取り憑かれてしまって、自分の頭の中ではネズミがいろんなコントを繰り広げているんです。

ポストカードに「ネズミの生体」というネタでショートコント的な絵を描いていて、それを毎回お店の休憩室に貼ってました。スタッフにそれを見て笑ってもらってましたね。それらは全部で200枚くらいあります。

ー 「大仏の頭上にいるネズミ」だったり、あれはどういう状況なんだろうなと思っていました(笑)ネズミ達のコントの一部なんですね。

そうですね。キャンバスに描いているネズミ画は、その一場面っていうイメージです。

僕は絵を描いてるとは言っても、アートというよりもコントを絵で再現するという感覚の方が強いですね。

そういえば…ネズミやホームレスのおじいさんもそうかもですが、所謂「世間一般的に綺麗とはされないもの」をあえてPOPでかわいらしく描く傾向があるかもしれません。

大仏の頭上にいるネズミ / nezmizm.

一生懸命に生きている彼らを見て、その姿がいじらしく思えたんです。

ー nezmizm.さんの作品の中では、ネズミ達が害獣として迫害されているという背景がありながらも、面白おかしく生きていますよね。なんだかTHE BLUE HEARTSの「リンダリンダ」の最初の一節を思い出しました。

散々罠を仕掛けられて処分されようとしても、あの手この手ですり抜ける彼らのずる賢くも逞しい生き様を見て、なんだかすごくいじらしく思えたんです。彼らはすごく一生懸命に生きているんですよね。

ちなみにネズミ界のカラオケでは、「ドブネズミみたいに美しくなりたい♪」を大合唱していますよ。

ー ネズミをモチーフにしてから約15年と伺いましたが…ちなみにずっと描き続けていて、飽きが来たりする事はないのですか?

不思議と飽きないですねぇ〜。自分の頭の中でストーリーが出来上がっているのと、あとこういうコント的な感覚のネズミキャラクターというのは自分にしか書けない、完全にオリジナルのものだからという自負もあるからかもしれません(笑)

ーコントが基盤にあるというのはnezmizmさん独自の発想ですよね。アーティストとして、今後やってみたい事はありますか?

今は自分の店にしか絵を飾っていないので、小さいところで個展はやってみたいですね

あとネズミって嫌われる動物と言われながらも、ミ◯キーにピ◯チュウに…世界的に大人気で活躍してるネズミがモデルのキャラクターって多いので、自分のネズミ達も世界に出てもらったら嬉しいです(笑)

現在は独立し、広島市内で雑貨&ビールBARを営むnezmizm.さん。

そのお店の名は、「THE CONTE(ザ・コント)」

店内にも自身の作品であるネズミ画が展示されており、人間社会に疲れた人々が今日もビールとネズミ画に笑いと癒やしを求めにやって来る。

お笑いと共にあるライフスタイルから生まれる作品(ネタ)と、今後のさらなる活躍も楽しみですね。

※現在のお店では残念ながら(?)本物のネズミは出現していないようです。

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